柏洋通信
2019.05.07
柏洋通信VOL92
58期上期 QC活動報告会を実施しました。
4月19日、23日の日程で、58期上期 QC活動報告会が開催されました。上期が終了したのが1月ですから、様々な事情から開催が遅れてしまったのは残念でしたが、多忙な日常業務の合間を縫って各職場から12チームが参加してくれたことに、社長として大いに意義を感じているところです。今期の半ばでの活動報告とあって、データ収集の途中だというチームも目に付きました。それでも、QC活動の基本中の基本である、日々業務に従事している自分たちだからこそ気付く課題をテーマに定め、地道にデータを蓄積していく手法は定着したと感じています。
今回最優秀賞を受賞したのは、12名のメンバーからなる「女子検査チーム」でした。テーマは「作業標準(検査-3)の整理と見直し」です。時代の進展と共に新しい仕事が加わり、使用する機器や治具が変われば、当然のことながら作業の手順も変わります。そうした過程で作業標準は追加され、見直されることになるのです。当社の50年以上に渡る歴史の中で、知らず知らずのうちに作業標準は増え続けていきました。その中には既に実際の仕事内容にそぐわなくなっているものや、似たような内容のものも含まれており、「探しにくい!」「分かりにくい!」として、現場で活用されているとは言えない現実が見えてきました。彼女たちもこうした状況に問題意識はあったものの、忙しさにかまけて中々手が付けられなかったというのが本音でしょう。当社の他の職場でも見られる光景です。あえてそこにメスを入れたのが「女子検査チーム」でした。12人のメンバーで慎重に検討を加えた結果、135項目もあった作業標準の中から44項目を削除し、91項目に絞り込むことに成功。さらにその中の4項目は、現状に即して改定を行いました。彼女たちは報告書の中で、自己評価として「以前より作業標準を意識し、必要な時に見るようになった」と記しています。私は今回のQC活動の最大の成果は、単に数を絞り込んだことではなく、むしろ彼女たち12人のメンバーが、一連の作業を通じて作業標準に対する意識が変わったことだと感じています。今回残念ながら最優秀賞を逃したチームの中にも、今後の活動如何で大きな成果が期待できるチームが幾つもありました。58期下期の報告会が今から楽しみです。
七島 徹
2019.04.19
柏洋通信VOL91
ファベックス (FABEX) 2019に行ってきました。
今年も東京ビッグサイトを会場に、4月17日から19日の日程で開催された ファベックス(FABEX)2019に行ってきました。
このイベントの正式名称は、The Word Food And Beverage Great Expoで、それぞれの頭文字を組み合わせてFABEXとしています。
業務用「食」の総合見本市として今年で22回目を数え、年ごとに海外からの出展も増えています。
「食」に関する見本市といえば、柏洋通信でも度々紹介している「フーデックス」や「スーパーマーケットトレードショー」など幾つもありますが、ファベックスはあくまで中食・外食など業務用の「食」に特化し、食品・食材、機械・機器、包装容器の3つの関連する分野をくまなく網羅しているのが特徴です。
そのため「食のプロたち」からも見逃せないイベントとして、注目を集めてきました。
また今回は同時に「デザート・スイーツベーカリー展」「食肉産業展」「ワイン&グルメ」「麺産業展」「プレミアムフードショー」が開催されました。
ガラスびんは業務用というより、むしろ一般消費者向けの容器だと言えます。
そうした意味で、ファベックスの会場でガラスびん入りの食品・飲料に出会う機会は、他の見本市ほど多い訳ではありません。
それでも私にとって、ガラスびんを含む容器の動向や「食」のトレンドを感じる上で、欠かせぬイベントになっています。
今年も「プレミアムフードショー」の「オーガニックフードEXPO」のコーナーでは、当社の製品をご愛顧いただいているお客様との新たな出会いがありました。
七島 徹
2019.03.29
柏洋通信VOL90
新入社員を迎え入社式を行いました。
3月22日新入社員を迎え、今年も入社式を執り行いました。東京では前日の21日に早くも桜の開花が宣言されたものの、ここ二本松ではまだまだ蕾は固いままです。それでも、当社は3名のひときわフレッシュな新入社員を迎え、早くも桜が咲いたかのような華やかな雰囲気に包まれました。毎年のことですが、こうして新しい仲間を迎えることができることは、会社にとっても経営者にとってこれほどの喜びはありません。
入社式に当り、新入社員を前に毎年幾つかの話をしてきました。今年もまずガラスびんの魅力と優れている点を理解し、我々が日々生産するガラスびんを一日も早く好きになること、そしてこの社会的にも意義のある製品に、携われることに誇りを持とうと語りました。特に昨年からは深刻化する一方の、マイクロプラスチック問題にも触れています。ガラスびんはリサイクルはもとより、樹脂容器とは異なり時間の経過と共に完全に分解されることから、無理なく自然に返る、戻ることのできる地球に優しい容器であることを強調しました。もう一つ、これも毎年のことですが、当社の目指す経営のスタイルについても話をしています。今年は事前に彼らに渡していた「新幹線のお掃除の天使たち」という本の内容を中心に、当社の目指す「全員参加型」の経営とはどのようなものなのかを語りました。
新幹線の車内をお揃いのしゃれた制服を着て清掃する「お掃除の天使たち」を、見かけたという方は多いでしょう。また組織の活性化や5S活動の理想的な姿として、テレビやビジネス関連の雑誌・書籍で取り上げられる機会も多く、こうした面から関心を持たれる方も多いと思います。私もそうした経営者目線で彼らを見てきた一人です。仕事柄移動も多く、東京駅のホームで新幹線を待つ際に、彼らの活躍ぶりを頻繁に目にしてきました。彼らのきびきびとした動きに接すると、気持ちが引き締まる思いがします。一糸乱れぬチームワークに加え、一切無駄のない合理的な動き。それはまるで鍛えあげられたアスリートたちの、スポーツの一場面を見るかのようです。掃除という仕事は決して派手ではなく、むしろ地味な仕事と言った方が適切です。どんなに一生懸命取り組んでも、決して拍手喝采をもらえることはないでしょう。ところが、徹底的に5Sに取り組み、アイデアと創意工夫を駆使して掃除の精度を極めた結果、彼らは一つの車両を一人で、しかも7分間で掃除を完結することが可能になりました。ひっきりなしに到着する新幹線を、ダイヤ通りに運行させるには、裏でこうした「お掃除の天使たち」の並々ならぬ取り組みがあったと言っても過言ではないはずです。その結果、彼らの地味で賞賛などと無縁だと思われていた「お掃除」が、海外からの観光客から拍手喝采を浴び、我々シャイな日本人にも、静かな感動を与えているのです。
今さら言うまでもないことですが、こうした状況は上から与えられたマニュアルを、その通りにこなした結果ではありません。彼らはメンバーたちとコミュニケーションを密にしながら試行錯誤を続け、真の問題点を見つけ、解決してきたことによるものです。そしてその過程で「お掃除」という仕事に誇りを持つようになり、さらに仕事を磨き続けたことで、「お掃除」は今や「おもてなし」の域にまで達したのだと思います。「お掃除の天使たち」は、もはや自分たちのことを単なる掃除人などとは思っていません。「私たちはお客様の旅を盛り上げるキャスト」だと言っています。
ここでは紙面の都合で本の内容を詳しく説明するわけにはいきませんが、当社の目指す経営のスタイルはここにあることは明らかです。新入社員3名と共に、目指す経営スタイルに向け、全社一丸となって進んでいく決意を新たにした1日でした。
七島 徹
2019.03.28
柏洋通信VOL89
13回目の色替えを実施しました。
3月14日から18日の日程で、13回目の色替えを(透明⇒茶)実施しました。色替えが終了し、生産再開から一週間程度過ぎた現在、順調に茶びんの生産を続けています。今回は色替えに合わせ、一部が腐食したLNG(天然ガス)の配管を切り替える工事を行っています。工事の過程で一時的にガスの供給をストップさせ、溶解炉以降のディストリビューターとフィーダーの燃焼を止める必要がありました。そのため従来より温度を高めに設定して色替えをスタートさせました。また同期間に原料投入機のアームの交換や、ISマシン(製びん機)を制御するコンピュータのバージョンアップなどの作業を行っています。吹製再開に当り、当初小びんドリンクで気泡が一時的に多発する時間帯も見られましたが、前回と比較すれば概ね良好なスタートとなったと考えています。今後さらに詳細な検討を加え、次回の色替えに備えます。
七島 徹
2019.03.18
柏洋通信VOL88
第15回ガラスびんアワードの表彰式に出席しました。
3月13日、今年も千代田区の如水会館で開催された、第15回ガラスびんアワードに出席しました。ガラスびんアワードについては、改めての説明は不要でしょう。ガラスびん自体のデザイン性、機能性、ファッション性などを評価する一方、内容物とのマッチングも加味され、ガラスびん入りの商品として総合的に判断されます。
15回目の節目を迎えた今年のアワードは、2018年に発売された多くの商品の中から263アイテム・362本がエントリーしました。その中から厳正なる審査を経て最優秀賞に輝いたのが、「い・ろ・は・す グラス スパークリングウオーター」です。そして優秀賞にはプレミアムシロップ「わつなぎ」と、プレミアム焼酎「cangoxina(カンゴシナ)」が選ばれました。併せて機能・環境賞、審査委員賞(リリー・フランキー賞、富永美樹賞)、日本ガラスびん協会賞も発表されました。尚、詳しくは日本ガラスびん協会のホームページをご覧ください。
栄えある最優秀賞に輝いたのが、日本コカコーラ(株)様の「い・ろ・は・す グラス スパークリングウオーター」でした。表彰後のご挨拶では、こんな開発のきっかけとなったエピソードも紹介されました。「2015年から開発に着手したのですが、当時の社長(イギリス人)から言われたのが、『欧米ではレストランでミネラルウオーターを注文すると、必ず(炭酸)ガス入りかガスなしかと聞かれるのに、日本ではそうならないのはなぜか』でした」。 そこで世界に誇るおいしい日本の水で、世界レベルで通用するガス入り商品の開発がスタートしました。炭酸ガスの刺激を保ちつつその強度にも堪え、しかもレストランのテーブルで映える容器といえば、やはりガラスびん以外考えられません。そして、コストとデザインのせめぎ合いの中から生まれたのが、この商品でした。
採用されたガラスびんは、ボディの表面に水の波紋をイメージさせる浮彫加工が施され、シンプルの中にも高級感あふれるデザインに仕上がりました。ミネラルウオーターといえば今やペットボトルの独壇場ですが、あえてガラスの質感を前面に出したところが、成功につながったのだと思います。多くの人たちに実際に手に取って、ガラスびんの魅力を感じてもらいたいものです。
七島 徹
2019.03.06
柏洋通信VOL87
フーデックスジャパン2019に行ってきました。
3月5日、今年も幕張メッセで開催されたフーデックスジャパン2019に行ってきました。今年で44回目を迎えるアジア最大の食品・飲料の展示会とあって、私に中でも食に関するトレンドに触れることのできるイベントとして、欠かせないものになっています。今回は私のスケジュールの都合で初日の午前中に会場を訪れたのですが、受付は既に長蛇の列でした。ほぼ3分の1がアジアからのお客様ではないでしょうか。海外からの出展者も益々増えているようで、これまで馴染みの薄かった南米や東ヨーロッパの国々も目に付きました。
国内組は昨年同様、主に別棟のホール9、10、11に集中しています。地方の特産品を活かした6次産業もすっかりお馴染みになりました。県や町など地方自治体や国の中小企業支援機関のサポートを受けて、今年も地元色を存分に出した商品が並びました。福島県も「ふくしまプライド」と銘打って、大きなブースを出していました。
さて、今やあらゆる分野で、女性の視線を活かしたビジネスが活況を呈しています。もちろん「食」についても例外ではありません。そこで私が初日に注目したイベントが、「美食女子Award2019」です(食に精通する「フーデックス女子」と女性バイヤーが審査員となり、消費者目線と販売側目線の厳しい目で選ばれた商品が発表されます[フーデックスジャパン2019パンフレットより])。「フーデックス女子」の「めっちゃ欲しい!」と、女性バイヤーの「これが一押し!」のせめぎ合いの中で、「スイーツ」「ドリンク」「ミール」「ママの愛」の4つの部門で、それぞれグランプリと金賞、銀賞が決定されます。
多くのライバル商品のある中で、見事「ママの愛部門」の金賞を受賞されたのが、(株)オーガニックソイル様の「OSMIC(オスミック)トマトジュース」でした。オスミックトマトとは、化学肥料を一切使わず、独自開発の有機培土のみで栽培したトマトのこと。それを塩も砂糖も全く使わずに絞った100%ジュースです。この商品は720mlと180mlのガラスびんで提供されているのですが、うれしいことに180mlには当社のストレート180をお使いいただいています。金賞受賞のお祝いも兼ねて出展ブースにご挨拶に伺った折り、原料となる生のオスミックトマトを試食させていただきました。「トマトとはこんなにも旨いの か」、「濃厚」とか「甘い」だけでは表現しきれない、奥深い味わいに魅了されました。
フーデックスではお酒も重要なアイテムであることは、言うまでもありません。日本酒、地ビール、焼酎、そしてワインと、内外から数多くの出展者がブースを構えています。特にワインは本場フランスばかりでなく、南欧、東欧、北米、南米、アフリカ、そしてもちろん国内も、世界各国から良質なワインが集結しました。それぞれのブースで試飲ができますから、お酒好きにはたまらないイベントでもあるのです(来訪者は原則としてバイヤーと業界関係者に限ります。念のため)。
そんな中で、一際変わった試飲を行っていたのが、当社のお客様でもあるきた産業さんです。予てより灘、伏見の大手酒造メーカーは、カリフォルニアなど海外で日本酒を生産してきました。ところが、最近日本食や日本酒に魅せられた欧米人の中に、現地で日本酒造りに挑む人たちが出てきました。そこで今回きた産業さんでは、ブースを訪れた人たちに、カナダ(2銘柄)、スペイン(2銘柄)、アメリカ(1銘柄)で、現地の人たちが醸造した日本酒を試飲していただき、それぞれの銘柄を当ててもらうという、「ちょっとびっくり」なアンケートを企画したのです。私も早速チャレンジしたのですが、あえなく完敗です。1銘柄も当てられない悲惨な結果に終わりました。日頃から日本酒に関して多少なりともうんちくを語ってきた身として、お恥ずかしい限りです。
さて試飲してみての感想ですが、原料に現地でわざわざ日本式の栽培方法で育てた米や、日本から輸入した山田錦を使っていたりと、こだわりの酒造りをしているだけあって、日本人としても十分に味わうことのできる水準に仕上がっていることに驚かされました。この話を別のブースで出展されているある酒造メーカーの社長にお話したところ、「日本の酒蔵はもっと海外の酒造りを応援すべきだ」との答えが返ってきました。日本酒は日本で作ってこそ日本酒です。将来のコンペチタ―(競合)候補に、何故塩を送るような真似をするのかといぶかりましたが、その答えを聞いて納得しました。「ワインは世界各国で独自に作るようになって、世界中の人々が楽しむ土壌が生まれました。だからこそ、かえって本場のワインの良さが認識され、珍重されるのです。日本酒もそうした環境になってこそ、世界の人々に日本酒の真の魅力が理解され、海外マーケットも広がるのです」。さらに「そんなに簡単には旨い日本酒は造れませんから(笑)」と。酒造家の気概と矜持に触れた思いがしました。
七島 徹