柏洋通信

Vol.101-120

2020.02.17

柏洋通信VOL110

スマート工場EXPOに行ってきました。

◆スマート工場EXPOを始めとする3つの展示会に合計で638社が出展。来場者は3日間で45,000人を超えました(主催者発表)。新型コロナウイルスの影響もあってか、マスクを着用した人たちが目立ちました。

 2月12日から14日までの日程で、東京ビッグサイトの西ホールで開催された「スマート工場EXPO」を覗いてきました。今年で4回目を迎えるこの展示会は、IOT、AI、FA、ロボットが一堂に会し、現代の製造ラインが抱える様々な課題の解決に欠かせない革新的な技術が網羅されています。また同時に「ロボデックス‐ロボット開発・活用展」と「ウエアラブルEXPO‐ウエアラブル開発・活用展」も開催されました。私が訪れたのは最終日の午後とあって、会場内は大勢の来場者でごった返していました。

 特に体験のできるパワーアシストスーツのブースでは、長蛇の列ができるほどの盛況ぶりでした。今やAIやロボットは当たり前の時代になりました。

 大手ばかりではなく中小企業にも導入が進むだけに、人々の関心も最新の技術や機器に触れるだけで満足するのではなく、自社のラインに導入することを前提に、ブースの担当者と突っ込んだ話をしている姿をあちらこちらで目にしました。ここでは展示会の詳細には触れませんが、生産性の向上や人手不足対策に、改めて当社もうかうかとはしていられないとの意を強くした1日となりました。

◆検査工程のスマート化への関心は非常に高く、1,000人近く収容可能な大きな会場にも拘らず、ほぼ満席の盛況ぶりでした。

 さて、今回のお目当ては自動車のマツダが取り組んだ「製造現場における検査工程のスマート化 IVI実証実験(Deep Learning、AI適用)」と題したセミナーでした。マツダではIVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ 日本機械学会生産システム部門が母体)という組織に加わり、製造現場の課題解決に向けて実証実験を行ってきました。今回の発表はそうしたIVIでの取り組みの一つで、「つながるものづくりアワード2018」で最優秀賞を受賞した内容が基になっています。

 当社を含め製造ライン上でカメラによる製品の全数検査は当たり前ですが、誤認識による良品の排除や欠点の見逃しは業種を問わず発生しており、そのため人の目で確認する作業がなくならないのが現状です。ディープラーニングやAIの導入で検査精度は飛躍的に高まっているとはいえ、対象物の素材や形状、検査のスピードによってはまだまだ完全な自動化には程遠いものも少なくありません。マツダでも同様の課題を抱えていました。幾つかの事例が紹介されましたが、その中でボディの目視検査の自動化には、従来からベテランの匠の技(目)が欠かせません。デザイナーが求める色は塗料メーカーの定番色とは程遠いものです。「海の深さのようなブルー」や「宝石のルビーのような輝きのある赤」など、光の加減で微妙に変化する色の違いを認識しなければなりません。またボディラインも単純に直線をつないだものではなく、複雑なカーブが幾重にも重ね合わされて形成されています。こうした単純に数値に置き換えることのできない対象に対し、マシンビジョンにディープラーニングとAIを組み込み、匠の技を自動化していく過程にはワクワクさせられました。もちろんそのまま実際の製造ラインに組み込むことは難しいのでしょうが、近い将来人間の目、しかも匠の目がカメラに代わる日が来ることを確信したところです。

代表取締役社長
七島 徹

2020.02.10

柏洋通信VOL109

17回目の色替を実施しました。

 1月20日から24日の日程で、17回目の色替を実施しました。今回は白(透明)から茶への変更となります。前回(白⇒茶)の色替は中5日で行いましたが、今回は中4日ということで、スケジュールに若干の変更が加えられました。

 原料の調合比率を段階的に変更する回数に変りはありませんが、日程が1日短縮されたことから投入する時間の間隔を短くしました。さらにカレットを投入するタイミングを早めるとともに、混合比率も高めています。

 今回も色替の期間中に大量の気泡が発生するなどの異常事態は見られず、ほぼ計画通りに進行しました。

 色替開始から数えて5日目の朝(1月24日)から順次生産をスタートさせ、翌25日には全てのラインで生産を再開しました。その後2月6日に外部の有識者を招いて今回の一連の作業の分析・評価を行いました。その結果を踏まえ、さらにスムーズな生産立ち上げを目指し、次回の色替に活かしていきます。

代表取締役社長
七島 徹

2020.02.04

柏洋通信VOL108

今年も節分祭に参加しました。

 当社のユーザーが主催する節分祭に、今年も参加させていただきました。毎年CMなどに起用されているタレントさんがゲストとしてお起しになるのですが、今年はテレビや映画、そして舞台で活躍されている竹下景子さんです。我々世代にとっては正にマドンナ的な存在です。この節分祭でお目にかかるのは3度目になりますが、今回も思わず見惚れてしまいました。

◆今年も数多くの善男男女たちが集まりました。年初から重苦しい事件が続きますが、この日ばかりはあちらこちらで、希望に満ちた明るい歓声が上がっていました。

 さて、2月3日の当日には、この日のために特別に設えた櫓の上から、大勢の善男善女たちを前に、「鬼は外」「福は内」と大きな声を張り上げながら、心を込めて豆やお菓子をまかせていただきました。2020年は年初から何かと物騒な事件が続いていることに、心を痛めているのは私だけではないでしょう。

 アメリカとイランがあわや全面戦争へ突入かと色めきだったのはつい先日のこと。そうした不安を拭い切れぬままに、今度は新型コロナウイルスによる肺炎が中国で発生し、瞬く間に日本を含む世界に波及してしまいました。今のところ収束の目処は立っておらず、テレビや新聞では連日感染者と死亡者の数が増え続けていると警告します。既に経済的な面でも影響が出始めており、春節で日本を訪れる予定だった中国人観光客のキャンセルが相次いだことから、この時期の百貨店の免税品売上が、昨年に比べて軒並み二桁ダウンとのこと。

 文字通り一刻も早く平穏な世の中に戻るよう、「鬼は外」「福は内」の声にも力が入ります。

 暦の上では節分の翌日から春を迎えることになります。とはいえ、暖かい陽の光を感じつつも、当分の間日々の生活の上でも企業活動の上でも、慎重なかじ取りが求められることになりそうです。櫓の上から豆をまきながら、改めて身の引き締まる思いを感じる一日となりました。

代表取締役社長
七島 徹

2020.01.14

柏洋通信VOL107

今年も二本松の賀詞交歓会に出席しました。

◆賀詞交歓会に先立ち山口会頭と三保市長が登壇されました。今年はオリンピック・パラリンピックイヤーとして華やかな1年が予想される一方で、経済、外交の面では不安材料の多い年でもあります。

◆今年も二本松商工会議所とあだたら商工会の共催となり、300名以上が集う賑やかな賀詞交歓会になりました。

◆毎年恒例の鏡開きで宴はスタートしました。今年は「千功成」と「人気一」のお酒が振る舞われました。

 2020年1月10日、「二本松御苑」を会場として行われた賀詞交歓会に出席しました。今年も二本松商工会議所とあだたら商工会の共催で、総勢で300名以上の人々が集う盛況ぶりでした。

 元号が令和に替わっての初めての正月に加え、東京オリンピック・パラリンピックが開催される活気あふれる年を、共に祝おうとする多くの人々の熱気が会場に溢れています。とはいえ、華やかなムード一色とはいかず、今年も経済や外交の面では厳しい状況が想定されます。冒頭の山口二本松商工会議所会頭のご挨拶の中でも、昨年から続く米中貿易摩擦や年初に一気に先鋭化したアメリカとイランの対立など、日本の経済に間違いなく影響を及ぼすことになる懸念が示されました。

 前日に東京で行われた某金融機関の賀詞交歓会でも、ご挨拶の中で同様の話が出ています。特に強調されていたのは、緊迫した海外の動静に関連する急激な為替の変動と、東京オリンピック・パラリンピック以降の景気の動向に、注意を怠らないようにとのことでした。また引き続き登壇された三保二本松市長は、改めて昨年猛威を振るった台風19号の被害状況に触れ、まさかの事態に対する備えに万全を期すと強調されました。その後恒例の鏡開きを経て乾杯に移り、賑やかな祝宴が繰り広げられました。

 今年も幾つかの賀詞交歓会に出席し、それぞれの業界のトップの方々のお話を聞く機会を得ましたが、個人的には三保市長のお話に共感するところが大きかったと感じています。

 福島県は30数年前にも大規模な水害を経験しています。その際郡山中央工業団地では甚大な被害に見舞われたことから、盛り土や止水板の設置などの対策を進めてきました。それでも今回また同団地の132社の内、実に123社が被災し、新聞報道によるとその被害総額は300億円を優に超えるとか。中には郡山での操業再開を断念し、他県への移転を決定した企業まで出てきています。

 このままでは地域に与える影響は、計り知れないものがあります。二本松市内でも被災した個所は2000カ所以上に上り、死傷者まで出ました。当社の工場が立地する場所は、二本松市内でも比較的被害は少なく、これまでも大きな水害に見舞われたことはありません。それでも昨今の地球温暖化に伴う異常気象を考えると、災害は「忘れたころにやって来る」のではなく、「いつでもやって来る」を前提に、災害対策をゼロベースで見直す必要を痛感しているところです。

 いずれにしても、経済面にせよ災害面にせよ、リスク管理は個々の企業の責任の下、粛々と進めなければならないと、再認識した年の初めとなりました。

代表取締役社長
七島 徹

2019.12.24

柏洋通信VOL106

国際ロボット展に行ってきました。

◆今やあらゆる産業の最大の関心事がロボット!会場は連日大勢の人々でごった返しました。

 12月18日から21日までの日程で開催された、2019国際ロボット展に行ってきました。世界最大のロボット・トレードショーとして今回で23回目を迎えるこのイベントは、東京ビッグサイトの青梅会場と、西・南ホールの2カ所に分かれての開催になりました。今やロボットは製造業のみならず、サービス業を含むあらゆる産業の最大の関心事と言っても過言ではなく、生産性の向上、人手不足対策の救世主として熱い視線が注がれています。

 開催中はテレビのニュース番組で数多く取り上げられていたので、映像を通じて会場の様子を目にした方も多かったでしょう。尚、展示会の詳細については以下のURLを参照してください。

https://robotstart.info/2019/12/18/irex2019-report-01.html

◆今回の展示会では大型産業ロボットより、むしろ小型の協働型ロボットが主役と言えるでしょう。

◆遅ればせながら私も20㎏の荷物も持っ て「パワースーツ」を体験。劇的に軽くなる感じはしないものの、荷物を持ち上げる瞬間に太ももが「ぐっと」引き上げられる不思議な感覚です。腰もしっかりとサポートされており、重い荷物をパレットに積み上げたり、長時間に渡って中腰を強いられるような作業には効果がありそうです。

◆今や人間の繊細かつ俊敏な動きをロボットが再現できるようになりました。私の見る限り、剣玉では球を先端の剣先に刺すことを除けば百発百中(!)でした。

 会場に足を踏み入れまず驚かされたのは、会場に設えられた巨大な製造ラインや大規模物流倉庫です。そこを縦横無尽に動き回る大型ロボットや、無人搬送車に度肝を抜かれました。

 その一方で今回主役となったのは、むしろ作業者と共存共栄する協働型ロボットだと言えるでしょう。特に目についたのは、様々な形状や色の対象物の中から、特定のモノを認識して選別するピンキングロボットです。アマゾンや楽天など大手ネット通販会社の巨大な物量倉庫では、かなり自動化は進んではいるものの、未だピッキング作業に人手は欠かせません。

 以前この柏洋通信でもアマゾンがこの作業のロボット化を推進するため、世界のロボット研究者を対象に、「アマゾンロボティクスチャレンジ」という競技会を開いていることを紹介しました。要するにピッキング作業とは、モノの形状や位置を認識する画像センサーと、形状や性状(柔らかい、固いなど)の異なる対象物に最適なハンドリングを可能にするロボットアームの高い精度が求められる、高度な技術の集積なのです。

 今回の展示会では多くのメーカーが、様々に趣向を凝らしたデモを行っていました。変わり種として今回注目を集めていたのが、ハンコを押すロボットです。これもピッキング作業で培った技術を生かしたロボットの一種なのでしょう。書類を1枚ずつめくりながら文章をチェックし、内容がOKなら定められた位置に押印します。薄い紙をめくる作業は、どうかすると2枚一緒にめくってしまうなど、人手でも神経を使うやっかいな作業です。ハンコを押しつける際、我々同様アームを小刻みに震わせるのがご愛嬌。

 デジタル時代にリアルな紙への押印が必要かは別として、人の繊細な動作を再現する動きにさらなる可能性を感じました。

◆我らが福島県は実はロボット先進県だったのです。東日本大震災からの復興を目的とする「福島イノベーション・コースト構想」の一環として、2020年春には南相馬市に「福島ロボットテストフィールド」が完成予定。ロボットの活躍が想定される環境を、広大な敷地の中に作り出しています。例えば老朽化した橋やトンネルが設けられたインフラ点検・災害エリア、実際の街並みを再現した市街地フィールド、瓦礫や土砂が散乱する瓦礫・土砂崩落フィールドなど。そこにロボットを持ち込んでテストすることで、実際の現場で役に立つロボットが開発されるのです。また隣接する工業団地では、ロボット関連企業の誘致も進んでいます。

 さて、今回は出展者の方々とお話をする中で、ロボット導入に向けたヒントを幾つかいただきました。自動化したい作業をすべてロボットに任せようとすると、かえってプログラムが複雑になり費用が大きくかさみます。さらにロボット自体がボトルネックになり、業務全体の流れに支障をきたす恐れがあります。あえてロボットが苦手とする工程では、隣で作業する人間が手を貸したり、ロボットと半自動の機械を組み合わせることで、ロボット導入のハードルがぐっと低くなるのです。

 当社も現在金型に離型剤を塗布する作業や、カートンを組み立てる作業をロボットに置き換えられないか検討しているところですが、人とロボットが協力しながら仕事をするという、柔軟な発想で取り組んで行きます。

 今回の国際ロボット展では、AI、IOT、RPAそしてロボットと、中小企業の生産現場を取り巻く環境が、大きく変化しつつあることを再認識した1日となりました。

代表取締役社長
七島 徹

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