柏洋通信
2021.02.08
柏洋通信VOL122
新たに「成形向上プロジェクト」が始まりました。
2月3日、第1回目の「成形向上プロジェクト」を開催しました。当社は今期で創業60年を迎えました。その間、当社は曲りなりにも事業を続けてくることができたことから、成形技術に関して同業他社と比べても、それなりの自負は持っています。それでも、それら全てにおいて理論的な裏付けがあるかというと、自信をもって「イエス」と言い切れないのが実情です。確かに経験と勘、さらには都合の良い思い込み(?)の域を出ない部分があることは否定できず、こうしたことが起因して、同様のトラブルが幾度となく繰り返されるという悩みを抱えています。そのため、当社の成形技術を一度原点に立ち返って見直す機会を持ちたいと、常々思っていました。今回外部の有識者のご支援を戴く機会を得られることになったことから、「成形向上プロジェクト」をスタートさせる運びとなりました。因みに講師は縁あって、東洋ガラスOBの林達雄さんにお願いすることになりました。林さんは長年に渡って、製造現場の改善に尽力されてこられました。
本来なら第1回目のプロジェクトは、林さんに当社の工場をじっくり見て回っていただくことから始めるのが筋ですが、如何せん2回目の緊急事態宣言が11都府県に出ている最中ですので、止むを得ず二本松工場と東京本社、そして神奈川県の林さんのご自宅をリモートで繋いで行わざるを得ませんでした。プロジェクトの冒頭で自己紹介をされた林さんのモットーは、「現場・現物・現実・原理・原則」とのこと。林さんは根っからの現場主義者であり、良い意味でデータ至上主義者だと理解しました。そんな林さんですから、プロジェクトのスタートは物足りないものに感じたのではないでしょうか。こちらの準備不足も否めませんが、あらかじめ用意していただいたパワーポイントに基づく質疑応答が大半で、議論の盛り上がりも今一つで終わったというのが私の感想です。
改めて感じたのは、このプロジェクトを生かすも殺すも我々次第だということです。当り前の話ですが、このプロジェクトは月に1度、林さんから東洋ガラス時代の経験談を拝聴する場ではありません。我々が直面する課題を林さんにぶつけ、一緒に悩み、考え、行動して解決していく場でなければなりません。我々が課題に対して必要なデータを徹底的に集め、その上で我々が「こう考えるがどうか?」と、我々の見解をきちんと表明して初めて、林さんも本気なって我々に向き合っていただけるのだと思います。このプロジェクトを意義あるものにするには、一にも二にも我々が如何に本気になって林さんにぶつかっていくかにかかっているのだと痛感しました。これからのプロジェクト活動の中で、メンバー一人ひとりの覚悟が試されます。
七島 徹