柏洋通信

2019.12.24

柏洋通信VOL106

国際ロボット展に行ってきました。

◆今やあらゆる産業の最大の関心事がロボット!会場は連日大勢の人々でごった返しました。

 12月18日から21日までの日程で開催された、2019国際ロボット展に行ってきました。世界最大のロボット・トレードショーとして今回で23回目を迎えるこのイベントは、東京ビッグサイトの青梅会場と、西・南ホールの2カ所に分かれての開催になりました。今やロボットは製造業のみならず、サービス業を含むあらゆる産業の最大の関心事と言っても過言ではなく、生産性の向上、人手不足対策の救世主として熱い視線が注がれています。

 開催中はテレビのニュース番組で数多く取り上げられていたので、映像を通じて会場の様子を目にした方も多かったでしょう。尚、展示会の詳細については以下のURLを参照してください。

https://robotstart.info/2019/12/18/irex2019-report-01.html

◆今回の展示会では大型産業ロボットより、むしろ小型の協働型ロボットが主役と言えるでしょう。

◆遅ればせながら私も20㎏の荷物も持っ て「パワースーツ」を体験。劇的に軽くなる感じはしないものの、荷物を持ち上げる瞬間に太ももが「ぐっと」引き上げられる不思議な感覚です。腰もしっかりとサポートされており、重い荷物をパレットに積み上げたり、長時間に渡って中腰を強いられるような作業には効果がありそうです。

◆今や人間の繊細かつ俊敏な動きをロボットが再現できるようになりました。私の見る限り、剣玉では球を先端の剣先に刺すことを除けば百発百中(!)でした。

 会場に足を踏み入れまず驚かされたのは、会場に設えられた巨大な製造ラインや大規模物流倉庫です。そこを縦横無尽に動き回る大型ロボットや、無人搬送車に度肝を抜かれました。

 その一方で今回主役となったのは、むしろ作業者と共存共栄する協働型ロボットだと言えるでしょう。特に目についたのは、様々な形状や色の対象物の中から、特定のモノを認識して選別するピンキングロボットです。アマゾンや楽天など大手ネット通販会社の巨大な物量倉庫では、かなり自動化は進んではいるものの、未だピッキング作業に人手は欠かせません。

 以前この柏洋通信でもアマゾンがこの作業のロボット化を推進するため、世界のロボット研究者を対象に、「アマゾンロボティクスチャレンジ」という競技会を開いていることを紹介しました。要するにピッキング作業とは、モノの形状や位置を認識する画像センサーと、形状や性状(柔らかい、固いなど)の異なる対象物に最適なハンドリングを可能にするロボットアームの高い精度が求められる、高度な技術の集積なのです。

 今回の展示会では多くのメーカーが、様々に趣向を凝らしたデモを行っていました。変わり種として今回注目を集めていたのが、ハンコを押すロボットです。これもピッキング作業で培った技術を生かしたロボットの一種なのでしょう。書類を1枚ずつめくりながら文章をチェックし、内容がOKなら定められた位置に押印します。薄い紙をめくる作業は、どうかすると2枚一緒にめくってしまうなど、人手でも神経を使うやっかいな作業です。ハンコを押しつける際、我々同様アームを小刻みに震わせるのがご愛嬌。

 デジタル時代にリアルな紙への押印が必要かは別として、人の繊細な動作を再現する動きにさらなる可能性を感じました。

◆我らが福島県は実はロボット先進県だったのです。東日本大震災からの復興を目的とする「福島イノベーション・コースト構想」の一環として、2020年春には南相馬市に「福島ロボットテストフィールド」が完成予定。ロボットの活躍が想定される環境を、広大な敷地の中に作り出しています。例えば老朽化した橋やトンネルが設けられたインフラ点検・災害エリア、実際の街並みを再現した市街地フィールド、瓦礫や土砂が散乱する瓦礫・土砂崩落フィールドなど。そこにロボットを持ち込んでテストすることで、実際の現場で役に立つロボットが開発されるのです。また隣接する工業団地では、ロボット関連企業の誘致も進んでいます。

 さて、今回は出展者の方々とお話をする中で、ロボット導入に向けたヒントを幾つかいただきました。自動化したい作業をすべてロボットに任せようとすると、かえってプログラムが複雑になり費用が大きくかさみます。さらにロボット自体がボトルネックになり、業務全体の流れに支障をきたす恐れがあります。あえてロボットが苦手とする工程では、隣で作業する人間が手を貸したり、ロボットと半自動の機械を組み合わせることで、ロボット導入のハードルがぐっと低くなるのです。

 当社も現在金型に離型剤を塗布する作業や、カートンを組み立てる作業をロボットに置き換えられないか検討しているところですが、人とロボットが協力しながら仕事をするという、柔軟な発想で取り組んで行きます。

 今回の国際ロボット展では、AI、IOT、RPAそしてロボットと、中小企業の生産現場を取り巻く環境が、大きく変化しつつあることを再認識した1日となりました。

代表取締役社長
七島 徹

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