柏洋通信
2019.03.29
柏洋通信VOL90
新入社員を迎え入社式を行いました。
3月22日新入社員を迎え、今年も入社式を執り行いました。東京では前日の21日に早くも桜の開花が宣言されたものの、ここ二本松ではまだまだ蕾は固いままです。それでも、当社は3名のひときわフレッシュな新入社員を迎え、早くも桜が咲いたかのような華やかな雰囲気に包まれました。毎年のことですが、こうして新しい仲間を迎えることができることは、会社にとっても経営者にとってこれほどの喜びはありません。
入社式に当り、新入社員を前に毎年幾つかの話をしてきました。今年もまずガラスびんの魅力と優れている点を理解し、我々が日々生産するガラスびんを一日も早く好きになること、そしてこの社会的にも意義のある製品に、携われることに誇りを持とうと語りました。特に昨年からは深刻化する一方の、マイクロプラスチック問題にも触れています。ガラスびんはリサイクルはもとより、樹脂容器とは異なり時間の経過と共に完全に分解されることから、無理なく自然に返る、戻ることのできる地球に優しい容器であることを強調しました。もう一つ、これも毎年のことですが、当社の目指す経営のスタイルについても話をしています。今年は事前に彼らに渡していた「新幹線のお掃除の天使たち」という本の内容を中心に、当社の目指す「全員参加型」の経営とはどのようなものなのかを語りました。
新幹線の車内をお揃いのしゃれた制服を着て清掃する「お掃除の天使たち」を、見かけたという方は多いでしょう。また組織の活性化や5S活動の理想的な姿として、テレビやビジネス関連の雑誌・書籍で取り上げられる機会も多く、こうした面から関心を持たれる方も多いと思います。私もそうした経営者目線で彼らを見てきた一人です。仕事柄移動も多く、東京駅のホームで新幹線を待つ際に、彼らの活躍ぶりを頻繁に目にしてきました。彼らのきびきびとした動きに接すると、気持ちが引き締まる思いがします。一糸乱れぬチームワークに加え、一切無駄のない合理的な動き。それはまるで鍛えあげられたアスリートたちの、スポーツの一場面を見るかのようです。掃除という仕事は決して派手ではなく、むしろ地味な仕事と言った方が適切です。どんなに一生懸命取り組んでも、決して拍手喝采をもらえることはないでしょう。ところが、徹底的に5Sに取り組み、アイデアと創意工夫を駆使して掃除の精度を極めた結果、彼らは一つの車両を一人で、しかも7分間で掃除を完結することが可能になりました。ひっきりなしに到着する新幹線を、ダイヤ通りに運行させるには、裏でこうした「お掃除の天使たち」の並々ならぬ取り組みがあったと言っても過言ではないはずです。その結果、彼らの地味で賞賛などと無縁だと思われていた「お掃除」が、海外からの観光客から拍手喝采を浴び、我々シャイな日本人にも、静かな感動を与えているのです。
今さら言うまでもないことですが、こうした状況は上から与えられたマニュアルを、その通りにこなした結果ではありません。彼らはメンバーたちとコミュニケーションを密にしながら試行錯誤を続け、真の問題点を見つけ、解決してきたことによるものです。そしてその過程で「お掃除」という仕事に誇りを持つようになり、さらに仕事を磨き続けたことで、「お掃除」は今や「おもてなし」の域にまで達したのだと思います。「お掃除の天使たち」は、もはや自分たちのことを単なる掃除人などとは思っていません。「私たちはお客様の旅を盛り上げるキャスト」だと言っています。
ここでは紙面の都合で本の内容を詳しく説明するわけにはいきませんが、当社の目指す経営のスタイルはここにあることは明らかです。新入社員3名と共に、目指す経営スタイルに向け、全社一丸となって進んでいく決意を新たにした1日でした。
七島 徹