柏洋通信
2016.07.19
柏洋通信Vol.21
7/19【6/29 Drink Japanに行ってきました。】
6月29日から7月1日まで、東京ビッグサイトで開催された「第1回 Drink Japan飲料・液状食品開発 製造展」に行ってきました。このイベントは、医薬品、化粧品、洗剤の研究・製造技術展である「第29回 インターフェックス ジャパン」と同時開催され、 医薬品、健康食品、化粧品などの液状化製品に関連する原材料、製造機器から各種容器、受託製造メーカーまで、幅広い業種が出展していました。また飲料に関する多種多彩なセミナーも数多く開催されており、私は今回特に興味を引いた「容器・包装開発の未来像~あるべき姿とは?~」を受講しました。 因みに顔なじみのキャップメーカーや同業者の顔もちらほら見受けられ、業界の関心の高さが窺えました。
今回の講演は日本コカ・コーラの「コカ・コーラが考える容器の姿 コンツアーボトルから2020年Visionに向けて」とサントリーの 「サントリーの包材設計におけるサスティナブルの取り組み」の2本立てでした。スペースの都合もあるので、ここでは日本コカ・コーラの松岡氏の講演に絞ってお話ししましょう。さて、飲料の容器の主流がペットボトルに移って久しいですが、その快進撃は1996年に500ml以下の小型ペットボトルの業界自主規制が撤廃されて以降になります。 それ以前の1985年では、ガラスびんが日本コカ・コーラの全飲料に占める比率は実に50%以上。その後缶に逆転されますが、前述の1996年を契機にペットボトルが増加に転じます。 さらに消費者の「持ち歩いて飲みたい」の欲求を受け、2000年代に入ると缶にとって代わりペットボトルが台頭、2014年時点ではペットボトルが79%を占めるまでになりました。 因みに我がガラスびんは僅か1%程度と残念な状況になっています。
コカ・コーラは全世界で飲料を世界で一番売っている会社です。それはイコール世界で一番容器を使って、排出している企業でもあるのです。 そこでコカ・コーラでは「地球と人にやさしい容器」を標榜し、容器やキャップメーカー他をリードして、ペットボトルのリサイクルに積極的に取り組んできました。軽量化(Reduce):原材料の使用量をできるだけ少なくする。再利用(Reuse):使い終えたパッケージは資源として回収し、できるだけ再利用する。 再生利用(Reuse、Recycle)回収したパッケージはできるだけ再利用・リサイクルして廃棄しない。 こうした取り組みの進化した形として、Bottle to Bottleを実現するメカニカルリサイクルを2015年より導入。 一方でPETを作るための原料となるレジンのエチレングリコール分に、再生可能資源である植物由来の原料(30%程度)を使ったプラントボトルも2010年から採用しています。 現在は食用の植物から抽出した糖蜜など使っていますが、将来的には食糧難にも対応するべく木材の端材や植物の茎など、比可食の原料での研究も進めています。
今回の講演を聞くまでは、正直ペットボトルのリサイクルがここまで進んでいるとは知りませんでした。 リサイクルとはガラスびんの専売特許でも、アピールポイントでもなくなりつつあることを、改めて実感したところです。とりわけ飲料の分野では、ペットボトルの流れが今後大きく変わることはないでしょう。それでは我々は、どのような分野を伸ばしていけばよいのでしょうか。 キーワードはやはり「中身に対する付加価値」だと考えます。ガラスびんだから可能になる自由な形状や多彩な色味、そして適度な重量感はペットボトルにはない魅力です。今回の講演を受講して、飲料の分野におけるペットボトルの圧倒的な存在感にはめまいを覚えるほどでしたが、 ガラスびんの立ち位置を改めて見直す機会になったという点で、貴重かつ有意義な体験であったと感じました。
※当文章の作成に際し、当日講演会で配布されたレジュメを参考にしました。
七島 徹