柏洋通信
2016.11.21
柏洋通信Vol.32
【4回目の色替えを実施しました。】(11/21)
色替えも今回で4回目を迎え、茶から白(透明)への2回目のチャレンジとなりました。基本的にはオーバーアクションは行わず、今回も段階を踏んで、徐々に白原料の比率を高めていきます。前回2016年4月に行った再現性を重視しますが、色替え後の原料の溶け具合を向上させるため、 原料に占めるカレット(屑ガラス)の混合率を、前回より早目に規定値に上げて行くことを意図し、全体の計画を立案しました。
11月11日の21時前、第一段階の原料の投入が始まりました。その後計画に則り、段階的に白原料の比率を高めたバッチを投入。11月14日の朝には茶からグリーンに色が変わり始め、15日の朝には淡いグリーンに、そして翌16日の朝にはほぼ透明へと変わりました。その間社内で行った測定では、色調、比重、アルカリ溶出量など、各種データが透明ガラスの基準値内に入ったことが確認されました。さらにサンプルを福島県ハイテクプラザに持ち込み、第三者機関による二重のチェックを経て従来の透明ガラスと同等の品質が証明されたことから、 順次生産を再開する運びとなりました。
当社の色替えも4回を数えるまでになり、私は単に色を替えることだけで満足する時期は過ぎたと感じています。今後色替えの成否は、スムーズに生産を再開できたかで評価すべきだと思います。そのためには、適切な温度管理や設備面のメンテナンスなど、今以上にきめ細かな対応が必要になります。3回目、4回目の色替えで、新たな課題も見えてきました。これからも安定的な色替えを実現するために、私たちの試行錯誤は続きます。
七島 徹
2016.11.14
柏洋通信Vol.31
【インテリア ライフスタイル リビング 2016に行ってきました。】(11/14)
11月7日から3日間の日程で開催された「インテリア ライフスタイル リビング2016」に、昨年に引き続き行ってきました。このイベントは家具を中心に照明や食器、グラス類、その他様々な生活雑貨に至るまで、室内で快適に過ごすためのこだわりのグッヅの数々が、幅広く展示されています。イベントの性格上、ガラスびんに関連する食品や飲料の展示はは極々少ないのは当然ですが、今最も旬な、時代の最先端を行くデザインに触れることのできる機会として、 大変貴重な体験であるとともに、大いに刺激をもらえる場でもあるのです。来場者のほとんどがデザイナーやインテリアコーディネーターなどデザインのプロや、大手百貨店などのバイヤーたちですから、少々場違いなのは否めないのですが。
FOODISTとネーミングされたコーナーは、選りすぐりのパッケージデザインの食品が展示されているエリアです。今年も全国から7社が出展し、その内5社がガラスびんを使用していました。いずれも思わず手に取りたくなるような、センスの良い製品ばかりです。「中身の価値を、それ以上に高めることのできる唯一の容器がガラスびん」という、私の持論が具現化された製品ばかりだと言うと、手前味噌すぎるでしょうか。うれしいことに、今年も当社の製品が並んでいたことを付け加えさせていただきます。
今回出展されていたメーカーの方と、新たな出会いもありました。アメリカからびん詰のハチミツを輸入し、国内で販売されているのですが、アメリカ産は大容量のびんしかなく、 国内のお客様からは「もっと小容量のものが欲しい」との声が数多く寄せられているそうです。まだまだ販売量が少ないので、国内で充填するまでにはいきませんが、ゆくゆくは国産のガラスびんに詰めて販売したいとのこと。アメリカのガラスびんの品質にも、満足いかないとお話されていました。直ちに商売に繋がることはないにせよ、こうした関係を大事に育んでいくことが大切だと感じています。
七島 徹
2016.11.05
柏洋通信Vol.30
【QCサークル活動目標設定レビューが開催されました。】(11/5)
さて、一通り発表を終えての感想ですが、率直に言って「最初に答えありき」のチームが多いことに落胆を隠せないというのが実感です。直面する課題を解決すべきテーマとして取り上げることは言うまでもないことですが、相変わらず現状分析の掘り下げが中途半端で終わっているため、 真の問題点が明確になっていない例が目立ちます。あらかじめ想定した結果に合わせようとしているうちは、 いつまでたっても課題の根本的な解決には行き着きません。そのことに早く気が付いてもらいたいのですが・・・。発表の後、足立氏や我々とのディスカッションの中で指摘された事項を、これからの活動に生かしてもらいたいと思います。
もう一つは、関連する類似した課題の解決を、複数のチームが目標に掲げていることが目に付きました。当社の3交代の職場は、1日24時間を4つの班が交代で勤務します。このままでは各チームが異なる手法で課題の解決に当たる可能性があり、結果もまちまちとなれば大きな混乱をきたすことが危惧されます。これは早い段階で管理職が関与し、交通整理をしておく必要がありそうです。またそれは、現状分析のための情報収集などを適切に分担して行えば、同一職場の4つの異なる課題に、同時に取り組むことが可能だということも意味します。
QC活動とは現場の自発的な活動でなければならないことは言うまでもありませんが、管理職が上手にリードすることで、その成果を2倍にも3倍にも高めることができると考えています。
七島 徹
2016.09.30
柏洋通信Vol.29
【「グラステック2016」に行ってきました。その2】(9/30)
グラステックの間隙をぬって、欧州の同業2社を見学する機会に恵まれました。まず9月20日の午後、アルダー社のリューネン工場を訪ねました。リューネンはデュッセルドルフから北東へ100㎞強、サッカーの香川真司選手が所属するチームのあることでも有名な、ドルトムントのすぐ北に位置しています。
ドルトムントはドイツ有数の工業都市ですから、リューネンも工業地帯の一角かと思いきや、緑あふれる田舎町といった風情でちょっとびっくり。 こんなところにガラスびん工場があるのかという疑問に、背の高い煙突が見えてきてようやく納得できた次第です。工場見学が許可されたとはいえ、場内の撮影は一切禁止とのことで、バスの中から工場の一部を撮影できただけでした。アルダーグループは世界22か国で缶とガラスびんを製造し、ガラスびんではヨーロッパ全域に20の工場を擁するシェア№2の巨大企業です。このリューネン工場は二つの溶解炉を持ち、主に食品向けの広口びんを製造しています。 外観は建物に赤いレンガが使われていたり、かなり年期が入っている印象でしたが、工場内に入るとその思いは一変しました。 とにかく最新の設備と、作業環境が清潔に保たれていることに驚かされました。ガラスびん工場は金型に離型剤を塗る工程が欠かせないことから、油が高温の金型に接すると油煙となって立ち上り、 同時に飛散する油と相まって、製びん機械は言うに及ばず、工場の床、壁、天井に至るまで、油で汚れているのが当り前だと思っていました。
ところがこの工場では全くそのようなことはなく、我々が訪れるために急遽大掃除を行った形跡もありません。工場長は「清潔な工場でなければ安全も品質も担保できない。清潔な工場でなければ顧客の信頼も得られない」と言い切ります。 そしてその考えの根底には、日本発の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の思想に基づく、日々の地道な取り組みがありました。アルダーグループでは、5S(ゴエス)は改善(カイゼン)と同様に日本語のままで通じます。我々日本人のお株を完全に奪われ格好です。 「顧客の要望に応えるためにも、フードディフェンスの取り組みを進めていかなければ」との発言が印象に残りました。
9月22日にはデュッセルドルフを離れ空路イギリスへ。ヒースロー空港経由でスコットランドの首都エジンバラへと向かいました。エジンバラは英国王室ともゆかりの深い、とても歴史ある街です。旧市街と新市街の美しい町並みは、世界遺産に登録されていることでも有名です。
さて、翌21日は陸路をバスで一路西へ。アルダー社のアーバイン工場を見学するため、グラスゴーを経て百数十キロ移動して目的地のアーバインに着きました。 この地はクライド湾に面し、セーターで有名なアラン島は目と鼻の先、さらに進むと対岸はもう北アイルランドです。アーバイン工場はスコッチの名産地のお膝元だけあって、主にウイスキーやジン、ウオッカなどのお酒向けの細口びんが主力です。透明とグリーンの二つの溶解炉を擁し、イギリスでは№1の生産量を誇っています。
アーバイン工場は溶解炉の改修工事を行ってからまだ数年とのこと。熔解炉はもちろんのこと、製造工程、検査工程、梱包工程でも最新の技術に基づく設備が導入されており、うらやましい限りです。 特に検査・梱包工程では自動化が進み、現場で見かける作業員はほんの数名程度です。ここでも5Sの取り組みは浸透しており、先に見学したリューネン工場同様に、整理、整頓、清掃が徹底されていました。改めて5Sは、アルダーグループ一丸となっての取り組みであることが、理解できました。また、ISOの最新の認証規格も取得するなど、品質に対する意識も極めて高いと感じました。工場長の「今では我々も日本品質です」の発言に、海外のガラスびんに対する認識を新たにした次第です。
七島 徹
2016.09.30
柏洋通信Vol.28
【「グラステック2016」に行ってきました。その1】(9/30)
9月19日から25日にかけて「日本ガラスびん協会」が主催する欧州視察ツアーが行われ、私も参加しました。
これはドイツのデュッセルドルフで20日から23日の日程で開催される「グラステック」に合わせて企画されたもので、 業界大手のトップも含む総勢17名が集まりました。「グラステック」とは2年毎に開催されるワールドワイドな見本市で、ガラスびん業界のみならず、 板ガラスも含む広くガラス産業全体を網羅する大規模なイベントです。ガラス製造機器・技術、溶解炉の設計・施工、各種耐火物、金型、検査器・制御技術などなど、 ガラスの最先端技術からこれからのトレンドに至るまで、今注目すべきガラスの全てに触れることのできる貴重な場として、 前回に引き続き若手の課長を伴い行ってきました。
某大手の技術部門のトップの方に言わせると、「今回のグラステックはわくわく感がないね。目新しい技術も少ないし」とのことですが、私たちにとってはどれも興味深いものばかり。今回私たちが注目したのは検査機でしたが、トレンドは複数のカメラを多角的に配置し、 ガラスびんに一切触れることなく360度検査するものでした。人工知能を駆使し、びん表面に印された模様や金型番号を、ガラスに練り込まれた異物や気泡、 ひびなどと区別して認識します。製品が替わるたび行わなければならない細かい調整作業も、大幅に自動化され時間短縮が図られています。
最新の製びん機械は各社がデモ機を持ち込んでアピールに余念がありません。サーボモーターで各部を駆動する機構は既にお馴染み。 いずれも安全性を重視したカバーが設置され、重量物である金型の交換作業を補助するクレーンが標準装備されているものも見受けられました。 さらにはカメラとセンサーがセットされ、カメラで金型の任意の部分にフォーカスして温度を測定する機構など、作業員の安全と負担を軽減する傾向が益々顕著です。年々自動化が進んできた製びん工程ですが、金型に離型剤を塗る塗油作業は未だ人手が主流です。塗油作業とは単なる金型からガラスを離れやすくするためだけではなく、 各種欠点を修正する役割もあり、作業員の技量の見せどころでもあったのです。これまでも様々な形で自動化が試されてきたものの、結果は今一つでした。そうした永遠の課題が、人間の動きを模したロボット化で変わろうとしています。既にヨーロッパでは導入実績があるとのこと。日本の大手でも検討中だそうですから、ガラスびんの製造現場の風景が大きく変わるのも時間の問題かもしれません。
「グラステック」のような世界的なイベントともなれば、世界経済の現況を映す鏡の役目も果たすものです。毎回参加している方の感想を聞くと、 「今回は中国企業の出展が少なかったし、出展企業も展示規模は縮小しているね。中国や中東からのお客さんの数もずいぶん減ったようだ」と。中国経済の減速と、原油価格の低迷による影響がもろに出ていると言えるのではないでしょうか。それに比べて日本からの出展企業も増えたし、参加者も多かったとの声も聞かれます。とはいえ、それが必ずしも日本のガラス産業の復興を示すものと言い切れないところに、問題の根の深さがあるのだと思います。
七島 徹
2016.09.15
柏洋通信Vol.27
【「食の大商談会」に行ってきました。】(9/15)
9月2日、池袋のサンシャインシティで開催された「食の大商談会」に行ってきました。このイベントは北海道と九州の金融機関が主催するもので、フーデックスや食品開発展ほどの規模はありませんが、 北海道と九州(主に鹿児島が中心)の選りすぐりの食品メーカーが集結するという意味で、目の離せない展示会になっています。 当社のガラスびんをお使いのお客様の中には毎年出展され、常連となっている会社もあって、私も3年ほど前から毎年お邪魔しています。 今回は東北、北海道で猛威を振るった台風10号による被害からまだ日が浅いことから、予定通り出展されているのか心配だったお客様もありましたが、 皆さん大きな被害もなく元気なお顔を拝見することができ、ほっとしたところです。
顔なじみのお客様とお話していたところ、お隣のブースから突然声を掛けられました。 鹿児島で製茶業を営んでいる方ですが、塩も扱っており、現在袋で展開している製品を、今度ガラスびんに入れて発売したいとのこと。 早速九州一円で展開されている某問屋さんをご紹介したところ、その晩「早速のご対応ありがとうございます。 問屋様よりお電話をいただきました」とのお礼のメールが届きました。ご紹介した問屋様の素早い対応に感謝するとともに、 こうした新しい出会いがあるのも展示会の醍醐味だと改めて感じました。
北海道の白亜ダイシン様は、各種展示会に積極的に出展されています。あちらこちらでお会いするうちに、 五十嵐常務とはすっかり顔なじみになりました。今回ももちろん出展されており、当社の製品に入った新製品を最前列に並べていただいていました。 「びんの形状も含め大変評判が良いので、積極的に売っていきます」という、うれしいコメントも頂きました。
七島 徹