柏洋通信
2021.12.03
柏洋通信VOL128
産業交流展2021に行ってきました。
11月26日、実に久しぶりに東京ビッグサイトを訪れ、恒例の産業交流展を見てきました。コロナ禍にあっても大規模な展示会は行われていました。それでも第5波が猛威を奮うなか、足が遠のいていたことも事実です。展示会は最新の技術やノウハウに触れることのできる貴重な場であることは、十二分に認識しているつもりなのですが、その間3密の回避を徹底するため、オンラインでの開催に特化した展示会も現れました。講演会やセミナーなら、ユーチューブで時間に縛られずに視聴することは、もはや当たり前になりました。ズームやティームを使えば一対一の商談はもちろんのこと、ある程度の規模のセミナーなら、講師と視聴者が双方向で質疑応答することも可能です。コロナ禍が続くなかで、我々は随分と不自由な生活を強いられてきました。しかし今まで当たり前のように時間をかけて移動し、相対で行ってきたビジネスが、オンラインでも可能であることを経験し、距離と時間に対する考え方が大きく変わってきたことを実感しているところです。こうした状況を背景に、今回の産業交流展は、オンラインとリアルのハイブリッド展示会として開催されました。
さて、産業交流展は東京都を中心に、中小企業を支援する各種団体が主催するイベントです。首都圏の元気な中小企業が一堂に会し、培ってきた技術やノウハウを駆使して生み出した商品を、広く市場に問う場として定着しています。直接ビジネスに結びつく商談ばかりでなく、出展者や来訪者との偶然、必然の出会いから、新たな商品の萌芽が生まれることも期待されます。中小企業の中には、特定の分野においては大手企業に引けを取らない技術を持っていても、関連する技術の広がりがない、デザインへの関心やノウハウに乏しく見せ方が分からない、そして何より肝心のお金がない。こうした三重苦を抱えている企業が多いものです。そのため、自社のブランドを持つまでに至らず、消費者と直接つながることのできない、いわゆる下請け仕事からの脱却が難しいのです。当社もその典型的な例でしょうか。東京都をはじめ主催者に名を連ねる各種団体は、そうした中小企業の悩みに寄り添い、試作品開発のサポートや関連する技術を有する企業同士のマッチング、さらには商品の魅力度を高めるために企業とデザイナーの橋渡しを行うなど、中小企業が自社のブランドを開発し、市場に投入するための様々な支援を行っています。改めて、当社にとっても利用度は高いと感じました。
今回多くの出展企業のなかで特に私が注目したのは、サポートが既に終了して久しい古いパソコンを、ウインドウズ10に置き換えることを商品化している企業でした。中小企業では懐かしのPC-98やウインドウズ7、XPで制御しているロボットや設備が、まだまだ現役で数多く動いています。そうしたロートルの働き者も、何らかのアクシデントでパソコンがダウンしてしまったら、既にサポートが終了してしまっているのでもはやお手上げです。当社もその例に漏れず、そうした時限爆弾を抱えた設備や機器が、現在も戦力として現場を支えているのです。そのため、ネットで中古パソコンを血眼なって探している中小企業は少なくありません。こうした悩みは中小企業ならではのもの。最新の設備をそろえている大企業では、経験することのない苦労でしょう。こうした商品開発は、やはり同じ中小企業として、中小企業の切実なニーズを肌感覚で理解しているからこそできることです。久しぶりに東京ビッグサイトを訪れて、数多くの仲間たちとの出会いから、元気と勇気をもらった一日になりました。
七島 徹