柏洋通信

2019年07月

2019.07.22

柏洋通信VOL98

インテリア・ライフスタイルTOKYO2019に行ってきました。
 今年も東京ビッグサイトで7月17日から19日の日程で開催された、インテリア・ライフスタイルTOKYOに行ってきました。東京ビッグサイトには1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックの会期中、世界各国から報道陣やカメラマンが集う国際放送センターが設置されることになっており、既に会場となる東ホールは準備のために閉鎖されています。そこで今回のイベントは、西ホールの全体とアトリウムを使って開催されました。

◆ひとつ先のトレンドや粋を凝らしたデザインに出会えるのはもちろんのこと、商品の見せ方や演出方法も含め、デザインの神髄に触れることができる展示会です。

 この展示会はその名の通り、インテリアから様々な雑貨まで、内外から集められた選りすぐりの商品を並べるだけでなく、最新のライフスタイルやひとつ先のトレンドを紹介することをメインとしたイベントです。
 今回ひときわ目を引いたのは、日本独自の美意識をカタチにしたジャパンスタイルと、今や女性の心を捉えて離さない北欧スタイルです。ジャパンスタイルでは伝統工芸の制作実演を、北欧スタイルではアーティストやデザイナーによるトークショーなど、デザインが生まれ、それぞれの風土の中で育まれ、やがて文化にまで昇華していく過程をより深く理解できる企画に興味を惹かれました。この場を訪れていつもながら感じるのは、デザイン力の素晴らしさです。売らんがためのデザインには、カッコは良くてもあざとさが付きまといます。心ふるえるデザインには、もちろんシンプルで使い勝手の良さもありますが、それ以上に持つ人、使う人の気持ちを高揚させる、ワクワク感があるのだと思います。

◆FOODISTとは「食に関心のある人」や「グルメ」の意味ですが、今年もこのコーナーには、内外から「グルメ」には堪えられない選りすぐりの商品が集まりました。

 インテリア・ライフスタイルは展示会の目的からして、決して食品や飲料などガラスびんに関連する商品が豊富に展示されているわけではありません。それでも、飛び切りセンスの良いガラスびんに入った商品に出会える場として、毎年足を運びたくなるイベントなのです。
 今回もFOODISTとネーミングされたコーナーには、数は少ないながらもデザインとパッケージに工夫を凝らした商品が並びました。もちろんガラスびん入りの食品も展示され、当社の製品をお使いのお客様にも出会うことができました。

◆能登・輪島の谷川醸造さんとは昨年もこの場でお会いしました。伝統製法にこだわりつつ、ラベルのデザインに洗練されたセンスが光ります。糀を使ったディップソースに当社の製品をお使いいただいています。

◆三宅商店さんのカフェ工房ジャムは、地元岡山の良質な果実をふんだんに使った、見た目にも美味しい商品です。女性に人気の「はらぺこあおむし」や「ムーミン」など、海外のキュートなキャラクターデザインをパッケージに展開するなど、トレンドとデザインへの感度は抜群です。

代表取締役社長
七島 徹

2019.07.04

柏洋通信VOL97

大七酒造さんを見学してきました。

◆見学当日は太田社長自ら案内していただきました。今では通年で酒造りを行う蔵も増えているようですが、ここ大七酒造さんでは秋に収穫された米を使い、10月に入ってから酒造りをスタートさせます。あくまで年1回、冬の厳しい寒さの中での酒造りにこだわっています。

 日本酒通なら知らない人はいない超人気酒蔵が、当社の工場が立地する福島県二本松市にあります。それが大七酒造さんです。

二本松市は酒どころ福島県の中でも、全国区で名の通っている酒蔵が幾つもあることで知られています。日本酒には良いお米と良い水が欠かせません。安達太良山の麓に位置する二本松市は、良質で豊かな水に恵まれ、酒造りの条件が整っていると言えるでしょう。それに加え、大七酒造さんは創業以来の生酛造りの製法を磨き上げることで、今や国内はもとよりワイン(醸造酒)の本場ヨーローパでも数々の賞を受けるなど、世界レベルの評価を確固たるものにしています。

大七酒造さんの太田社長とは日頃から懇意にさせていただいており、かねてより工場を一度見せていただきたいと思っていたのですが、太田社長は自らトップセールスで海外を飛び回る超多忙な方なので、中々スケジュールが合わず、7月1日にようやく実現の運びとなりました。当日は当社もお世話になっている運送会社の方々とご一緒しました。

◆原料の米は強力な火力で一気に蒸し上げることで、理想的な状態に仕上がります。これに耐えられるのは、重厚な鋳物造りの羽釜をおいて他にありません。新たな造り手が見つからず、しばらく廃業した酒蔵から中古の羽釜を譲り受けて凌いできました。うれしいことに数年前に岩手県で業者が見つかり、予備も含めて三釜を発注しました。ここにも太田社長のこだわりが生きています。

 大七酒造さんは創業1752年、太田社長で10代目を数え、代々当主は七右衛門を名乗ります(現在は9代目のお父様)。

現在の工場は道路の拡幅工事に合わせ、東日本大震災の直前から建て替えが始まり、何期かに分けて工事を進め現在に至っています。工場の外観は日本酒の酒蔵のイメージとはかけ離れた、まるでヨーロッパの古い街並みを髣髴させる優雅な佇まいです。ところが、中に入ると今ではほとんど見かけることのない鋳物でできた羽釜や、昔ながら木桶が据えられるなど、創業以来の伝統的な製法である生酛造りにとことんこだわっていることが見て取れます。

一方で昔ながらの酒造りに固執するだけでなく、独自で最新の技術を開発する新規性も持ち合わせています。原料の米は表面の糠を削り落とすことで、雑味のないすっきりとした味に仕上がります。とはいえ、単に削れば良いというものではありません。現在の主流は米を真ん丸に削っていくのですが、米自体が球体ではないのですから、これでは削りすぎる部分と削り残しの部分ができてしまいます。

そこで大七酒造さんではその難問を解決するため、独自に超扁平精米技術を開発。米のどの部分でも糠を十分に除去できる理想的な精米状態を実現し、お酒の味と風味を飛躍的に高めることに成功しました。

◆蒸米、麹、水を仕込む山卸作業は生酛造りの重要な部分です。決して機械に任せることなく、人手をかけてじっくりと行います。

◆仕込み蔵には今ではほとんど見られなくなった大きな木桶が5基並んでいます。実に壮観な眺めです。中には大正12年と記されたものも。ここでも人手と時間を贅沢にかけ、特別に吟味されたお酒が醸されます。

 太田社長は「生産能力を大きくしたくて新工場を立ち上げたのではありません。品質を損なうことなく低温で熟成・貯蔵できるスペース(セラー)を確保したかったのです」と言います。それは在庫を抱えることを意味しますから、経営的にはマイナスではあるのですが、特別に吟味して醸した純米酒や吟醸、大吟醸は数年寝かせることで熟成が進み、旨みが増すのだそうです。

近頃琥珀色に変化した古酒も見かけるようにはなりました。それでも日本酒は造りたて、搾りたてが一番うまいと思っていた私には、これはある種の驚きでした。しっかりとした造りだからこそ、時間の経過がお酒をおいしくしてくれるのであって、生半可な造りではそうはいかないとのこと。生酛造りとは、正にそうした骨太な製法なのだと実感したところです。

さらに驚かされたのは、日本酒の熟成方法でした。それはワインなどと同様にガラスびんに充填した後、きちんと管理された冷暗所(セラー)で保管します。タンクに入れたままでは上部の空間に溜まった空気が悪さをし、思ったように熟成が進まないのだそうです。これは我々ガラスびんメーカーの身びいきなどではなく、ガラスびんの容器としての優秀性を証明する例と言えるのではないでしょうか。

良質な日本酒とガラスびんは、切っても切れない関係です。改めてガラスびんの価値を認識させてくれた、うれしい一日となりました。

◆太田社長を交え、本日の参加者一同で記念撮影です。背景には古式ゆかしい酒造りの様子を描いたステンドグラスが。地元在住の作家の作品だそうです。

◆思いがけず特別室にお招きにあずかり、お待ちかねの試飲会が始まりました。もちろん太田社長直々の解説付きです。

◆この試飲用グラスは、世界的なソムリエの田崎伸也さん監修によるものです。一つひとつ少しずつデザインが異なるのですが、日本酒の味、香り、色味の微妙な違いを感じ取る上で、意味のある形状なのだそうです。

◆本日はこの四銘柄を堪能しました。いずれも大七酒造を代表する逸品ばかりです。上質なお酒と太田社長のトークに酔いしれた、素晴らしいひと時となりました。

代表取締役社長
七島 徹

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