柏洋通信
2019年06月
2019.06.24
柏洋通信VOL96
国際画像機器展2019に行ってきました。
今年も6月13日、みなとみらいにあるパシフィコ横浜で開催された、国際画像機器展2019に行ってきました。この展示会は毎年6月と11月に開催されていますが、年に1回では技術の進歩に追い付けず、最新の機器をタイムリーに紹介するという展示会本来の目的を果たせないことから、年2回の開催にこだわっているのだそうです。
当社の工場でも、製造現場に設置されているカメラの数は年々増える一方です。製品の検査用ばかりでなく、ラインの自動化が進むのに比例し、ラインの稼働状況やトラブルの確認などに、幅広く用いられるようになりました。特にここ数年で国内でも製品の外観検査や異物検査、寸法検査にAIを組み込んだマシンビジョンが急速に利用されるようになり、それにつれて展示会の様子も大きく変化してきたと感じています。
今年はディープラーニングの関連製品を集めた特別コーナーも設けられ、従来からの主役である各種カメラや光源類が脇へ追いやられているとの印象すら受けました。出展している企業の担当者でさえ、「画像機器展とはいえ、メインは今やAIやディープラーニングだね」と苦笑する有り様です。
マシンビジョンの世界では、AIやディープラーニングの進歩とは別に、生産工程の自動化のニーズの中で、従来型のカメラを使った外観検査や異物検査、寸法検査が、当社も含め当たり前のように行われてきました。とはいえ、光を透過するガラスや光を反射する一部の金属など、カメラの解像度や光源に工夫をこらしても、正しく認識することが困難な対象物は意外に多いものです。最終的には目視検査に頼らざるを得ないのが現状で、そうした対象物の画像検査を自動化するのに効果を発揮するのが、ディープラーニングとAIの組み合わせです。
今回は昨年同様、こうしたシステムを商品化している企業の代表の方から、「AIを外観検査や異物検査に用いるコツ」と題したセミナーを受講し、最新の事情に触れてきました。企業ごとに画像検査の対象物や検査現場の環境が異なり、マシンビジョンの課題も様々なことから、従来はシステムの設計からデータ収集、データの学習、学習データの評価、合否判定システムの作成、そしてそれらを照明、カメラを含む検査システムへ組み込むところまで、フルオーダーメイドが当り前でした。
ところが近年ディープラーニングによる画像生成や画像合成技術が格段に上がったことで、数万点も必要とされていた不良サンプルの画像が、数百点レベルまで劇的に減少させることが可能になったとのこと。
こうした加速度的な進歩もあって、今年はAIを組み込んだ外観検査のパッケージソフトが数多く展示され、導入に向けたハードルは格段に低くなっているようです。
AIを導入したからといって、「自分で考えてなんでもうまくやってくれる」ことなどないことは承知しています。しかし、ことマシンビジョンの世界では、ディープラーニングは従来のマシンビジョンが苦手としていた課題について、的確な解決手段を提供できることが改めて理解できました。
我がガラスびん業界でも、既に大手では導入に向け動き出しているようです。当社も業界の流れに遅れをとらないよう、情報収集を怠らず、しっかりと準備をしていきたいと思います。
七島 徹
2019.06.21
柏洋通信VOL95
ISOの更新審査が終了しました。
6月12日から14日までの日程で、当社のISO14001:2015の更新審査が行われました。審査は「マネジメントシステム全体としての継続的な適合性及び有効性、並びに認証の範囲に対する適正性を審査すること」を目的に、本社と二本松工場で同時並行して進められました。
まず初日は朝一番に、私が審査委員からインタビューを受けることから始まりました。同様のインタビューは過去に何回も受けてはいるものの、それでも毎回緊張するものです。経営トップとして当社の現状に対してどのように感じ、どのような問題を課題として捉えているかなどなど、熱くなって語っているうちに、持ち時間の1時間はとうに過ぎていました。
その後は各部門の責任者がそれぞれの活動実績を示しながら審査委員の方々とディスカッションを進め、改善すべき点や今後取り組むべき課題などを確認していきます。結果としてマネジメントシステム全体に影響を及ぼすような、決定的な逸脱行為は認められず、無事審査は終了しました。
幸いなことに大きな改善指摘事項はなかったものの、審査終了後に受け取った報告書を見ると、各部門で概ね同様の問題点が指摘されています。この点については、私も当社のウイークポイントとして常々感じているところです。
原則として各部門の活動は、PDCAに基づいて進めているのですが、計画と実績を比較することで差異や異常を認識できてはいても、到達すべき最終的なゴールが曖昧なため、突っ込んだ分析が行われず、評価が中途半端のままで終わってしまうことが多いのです。
結果として問題の本質を見い出せず、対処療法に終始することになりがちです。これでは本来向かうべき改善の方向性を、見誤ることになりかねません。こうした状況を放置していれば、PDCAを回し続けながら、さらに高いレベルの改善を継続していくという、ISOの本質とはかけ離れたものになるのではと危惧しています。
今回指摘を受けた改善点を真摯に受け止め、次回の更新審査に向けさらに充実した活動になるよう、社員一丸となって取り組んで行きます。
七島 徹
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