柏洋通信

2019.05.27

柏洋通信VOL94

ヘルスフードエキスポ2019に行ってきました。

◆国際食品素材/添加物展・会議は今年で24回、ヘルスフードエキスポは今年で17回を迎えました。

 5月22日から24日の日程で開催された、「ヘルスフードエキスポ2019」に行ってきました。「国際食品添加物展・会議」と同時開催されており、健康食品や機能性食品に関係する多くの企業が出展し、製品開発を手掛ける担当者が数多く集います。私のような容器メーカー、特にガラスびんメーカーの人間には、直接ビジネスに繋がることは少ない場であるとは思いますが、今回は「食の地域ブランド創造ゾーン」の出展もあったため、足を運んだ次第です。尚、今回は東京ビッグサイトの青海展示棟ホールA・Bで行われました。ここはゆりかもめの東京ビッグサイト駅(3月に国際展示場正門駅から改称)のお隣、青海駅のすぐ横に設けられた巨大な倉庫のような建物です。来年は東京オリンピック2020が開催される影響で、長期間使用できなくなる東京ビッグサイトを補完するために建てられたのでしょうか。東京ビッグサイトとは、無料シャトルバスで行き来することができます。

◆山本万理先生は「食の地域ブランド創出に向けた食品素材と機能性表示について」のタイトルで、基調講演を行いました。山本先生は地方自治体が地場の食品に付加価値を与えるため活動を支援されており、こうした「自治体版機能性表示制度」の取り組みは、アジア各国からも注目されているそうです。

 さて、今回私のお目当ては、「食の地域ブランド創生セッション・産学官連携セッション」と題したセミナーを受講することでした。地方自治体が地場の食品の販売促進に向け、健康面にフォーカスした活動を行っていることは見聞きしていましたが、最新の取り組みについて知りたいと思っていたからです。まず冒頭は官を代表して、農研機構 食料ビジネス推進センター・センター長の山本万理先生による基調講演です。山本先生は食品素材と機能性表示について長年研究されてきた方で、2015年に設けられた機能性表示食品制度の実現にも尽力されました。また先生はテレビ番組「世界一受けたい授業」で、緑茶の効能を科学的かつ分かりやすく紹介するなど、マスコミの世界でも広くご活躍されています。

◆2013年に全国に先駆けてスタートした「ヘルシーDo」。認定商品は健康食品からヨーグルトや豆腐、お菓子に至るまで、既に90品種を超えました。「ヒトを対象とした機能性に関する試験」をバックアップするため、江別市の北海道情報大学に研究センターを設置し、低コストでデータを収集・分析できる体制もできました。こうした地道な活動が、「ヘルシーDo」の普及を後押ししています。現在では大手スーパーマーケットが関心を寄せるなど、「ヘルシーDo」はビジネス面でも大いに期待されています。

 続いて北海道が全国で先駆けて進めてきた、「ヘルシーDo」の活動が報告されました。北海道が食の宝庫であることに、異論を挟む人はいないでしょう。豊かな農産物、畜産物、海産物に恵まれているが故に、それらは一次産品のまま出荷されることが多く、どのように付加価値を付けるのかが悩みの種でした。例えば三重県伊勢名物の赤福餅や、福岡県博多名物の辛子明太子。赤福餅の小豆は十勝産を使用していますし、スケソウダラの魚卵である明太子は、もちろん北海道産です。二つの名物自体は北海道とは縁もゆかりもないものの、使用している北海道産の原料が、味や品質をアピールする強力なブランドになっています。そうした北海道ブランドを活かしつつ、「おいしい・安心・健康」に着目して生まれたのが、北海道食品機能表示制度、その名も「ヘルシーDo」なのです。この制度は北海道内で製造された商品を対象に、「ヒトを被験者として機能性に関する試験が行われていること(一定水準の科学的な根拠があること)」など、一定の基準を満たした商品に、北海道庁が独自に健康に配慮した商品として認定するというものです。その証に「ヘルシーDo」のロゴマークを、商品のパッケージに表示することがきるのです。既に研究で明らかになった機能性成分を活用して認定を受けられることから、自社で研究する手間や時間を省くことができ、道内の企業が参入しやすいことが特徴です。そもそも機能性表示食品制度は届け出制のため、専門機関の審査が必要な特定保健用食品(トクホ)より簡便に健康効果を表示しやすいと言われています。それでも、企業側が自社の責任で科学的根拠に基づいた機能性を表示することになるため、そうした研究論文や文献を集めたり、独自でヒトを対象とした研究データを作成することは、中小企業にとって決して低いハードルとは言えないのが実情です。「ヘルシーDo」はそうした問題を解決すべく、北海道庁が創設した健康志向の食品ブランドだと言えるでしょう。

◆県を越えた四国全域の食の振興に向け、一般財団法人四国産業・技術振興センターが2011年より活動を開始。「ヘルシーDo」をベンチマークに、2017年から「ヘルシー・フォー」としての認定制度をスタートさせ、現在4品種が認定を受けています。因みに「ヘルシー・フォー」の「フォー」はズバリ四国を意味します。また「・」には掛け合わせるとの意味があることから、「ヘルシー×フォー=健康×四国」、「四国全体を健康に、四国の総力で社会を健康に!」という意味が込められているそうです。

 「ヘルシーDo」は特定保健用食品や栄養機能食品とは異なり、直接効能効果を表示することはできません。また、必ずしも機能性表示食品の要件を満たしていないことから、消費者の混乱を避ける上でも監督官庁である消費者庁との交渉は、難航を極めたとも言います。最終的には官公庁との連絡を密にし、何らかのトラブルが発生した場合には、北海道庁が前面に出て解決に当ることで了承を得たとのことです。北海道が先行して進めてきた、いわば「自治体版機能性表示制度」は、今や全国的な広がりを見せるまでになりました。当日「ヘルシーDo」の次に発表が行われた「ヘルシー・フォー」の取り組みは、正に「ヘルシーDo」をお手本にスタートした、四国四県にまたがる活動です。私はこうした地方発の活動と容器としてのガラスびんは、非常に親和性が高いと考えています。これからも「自治体版機能性表示制度」の取り組みに注目していきます。

代表取締役社長
七島 徹

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