柏洋通信
2019.03.06
柏洋通信VOL87
フーデックスジャパン2019に行ってきました。
3月5日、今年も幕張メッセで開催されたフーデックスジャパン2019に行ってきました。今年で44回目を迎えるアジア最大の食品・飲料の展示会とあって、私に中でも食に関するトレンドに触れることのできるイベントとして、欠かせないものになっています。今回は私のスケジュールの都合で初日の午前中に会場を訪れたのですが、受付は既に長蛇の列でした。ほぼ3分の1がアジアからのお客様ではないでしょうか。海外からの出展者も益々増えているようで、これまで馴染みの薄かった南米や東ヨーロッパの国々も目に付きました。
国内組は昨年同様、主に別棟のホール9、10、11に集中しています。地方の特産品を活かした6次産業もすっかりお馴染みになりました。県や町など地方自治体や国の中小企業支援機関のサポートを受けて、今年も地元色を存分に出した商品が並びました。福島県も「ふくしまプライド」と銘打って、大きなブースを出していました。
さて、今やあらゆる分野で、女性の視線を活かしたビジネスが活況を呈しています。もちろん「食」についても例外ではありません。そこで私が初日に注目したイベントが、「美食女子Award2019」です(食に精通する「フーデックス女子」と女性バイヤーが審査員となり、消費者目線と販売側目線の厳しい目で選ばれた商品が発表されます[フーデックスジャパン2019パンフレットより])。「フーデックス女子」の「めっちゃ欲しい!」と、女性バイヤーの「これが一押し!」のせめぎ合いの中で、「スイーツ」「ドリンク」「ミール」「ママの愛」の4つの部門で、それぞれグランプリと金賞、銀賞が決定されます。
多くのライバル商品のある中で、見事「ママの愛部門」の金賞を受賞されたのが、(株)オーガニックソイル様の「OSMIC(オスミック)トマトジュース」でした。オスミックトマトとは、化学肥料を一切使わず、独自開発の有機培土のみで栽培したトマトのこと。それを塩も砂糖も全く使わずに絞った100%ジュースです。この商品は720mlと180mlのガラスびんで提供されているのですが、うれしいことに180mlには当社のストレート180をお使いいただいています。金賞受賞のお祝いも兼ねて出展ブースにご挨拶に伺った折り、原料となる生のオスミックトマトを試食させていただきました。「トマトとはこんなにも旨いの か」、「濃厚」とか「甘い」だけでは表現しきれない、奥深い味わいに魅了されました。
フーデックスではお酒も重要なアイテムであることは、言うまでもありません。日本酒、地ビール、焼酎、そしてワインと、内外から数多くの出展者がブースを構えています。特にワインは本場フランスばかりでなく、南欧、東欧、北米、南米、アフリカ、そしてもちろん国内も、世界各国から良質なワインが集結しました。それぞれのブースで試飲ができますから、お酒好きにはたまらないイベントでもあるのです(来訪者は原則としてバイヤーと業界関係者に限ります。念のため)。
そんな中で、一際変わった試飲を行っていたのが、当社のお客様でもあるきた産業さんです。予てより灘、伏見の大手酒造メーカーは、カリフォルニアなど海外で日本酒を生産してきました。ところが、最近日本食や日本酒に魅せられた欧米人の中に、現地で日本酒造りに挑む人たちが出てきました。そこで今回きた産業さんでは、ブースを訪れた人たちに、カナダ(2銘柄)、スペイン(2銘柄)、アメリカ(1銘柄)で、現地の人たちが醸造した日本酒を試飲していただき、それぞれの銘柄を当ててもらうという、「ちょっとびっくり」なアンケートを企画したのです。私も早速チャレンジしたのですが、あえなく完敗です。1銘柄も当てられない悲惨な結果に終わりました。日頃から日本酒に関して多少なりともうんちくを語ってきた身として、お恥ずかしい限りです。
さて試飲してみての感想ですが、原料に現地でわざわざ日本式の栽培方法で育てた米や、日本から輸入した山田錦を使っていたりと、こだわりの酒造りをしているだけあって、日本人としても十分に味わうことのできる水準に仕上がっていることに驚かされました。この話を別のブースで出展されているある酒造メーカーの社長にお話したところ、「日本の酒蔵はもっと海外の酒造りを応援すべきだ」との答えが返ってきました。日本酒は日本で作ってこそ日本酒です。将来のコンペチタ―(競合)候補に、何故塩を送るような真似をするのかといぶかりましたが、その答えを聞いて納得しました。「ワインは世界各国で独自に作るようになって、世界中の人々が楽しむ土壌が生まれました。だからこそ、かえって本場のワインの良さが認識され、珍重されるのです。日本酒もそうした環境になってこそ、世界の人々に日本酒の真の魅力が理解され、海外マーケットも広がるのです」。さらに「そんなに簡単には旨い日本酒は造れませんから(笑)」と。酒造家の気概と矜持に触れた思いがしました。
七島 徹