柏洋通信
2018年04月
2018.04.05
柏洋通信Vol.69
【AI・人工知能EXPOに行ってきました。】(4/5)
東京ビッグサイトで4月4日から6日の日程で開催された、AI・人工知能EXPOに行ってきました。
昨年から始まったこの展示会ですが、出展社の数は300社を超えて倍増だそうです。
機械学習やディープラーニングの急速な進歩によって、我々の日常生活には遠い存在だと思われていたAIや人工知能が、一気に現実味を帯びてきたというのが実感です。
そういった意味で、2018年は歴史に残る年になるのだと思います。
書店を覗けばAI・人工知能関連の書籍を集めたコーナーを、当たり前に目にするようになりました。
AIに仕事を奪われたり、はたまた支配されるのではないかと不安を煽る本まで目にします。
AI・人工知能の中身が大多数の人間にはブラックボックスなだけに、こうした話がまことしやかに語られるのでしょう。
さて、そんなSFチックな話は別にして、今や中小企業にまで活用され始めたと言われるAI・人工知能ですが、 「本当のところはどうなの?」を確かめるのが今回の目的です。
AI・人工知能と一口に言っても、ビッグデータを解析して様々な予測モデルを作るものから(あるブースではデモで貸し倒れリスクの予測をしていました)、 コールセンターや受付嬢(何も女性に限りませんが)を代替するチャットボットまで、応用範囲は実に多彩です。
個人的に関心が高いのは、マシンビジョンへのAIの活用です。
カメラで製品の検査を行う際、ガラスは光を透過すると同時に反射もするなど、実にやっかいな素材です。
漏れのないようにカメラの感度を一定以上に上げれば、品質に影響を与えないほどの微細な汚れやしわまでも、欠点と認識して排除してしまいます。
そこでディープラーニングを駆使して膨大な映像データを読み込ませれば、AIが人間の目と同じように微妙な差異を認識し、 良品排除を大幅に減らすことが期待されるのです。展示会ではマシンビジョンに特化したソフトウエアも出展されていました。
予めディープラーニングのアルゴリズム(手順)が設定されており、後は個々の会社で実際に生産ラインを流れる製品の映像を読み込ませるだけで、 最適な検査の環境を構築できるのだそうです。
オーダーメードからイージーオーダーへ、AI・人工知能のハードルも、確実に低くなってきていると感じました。
その他にも、昨年から急速に普及してきたと言われているRPA(Robotic Process Automation)の展示も目に付きました。
ロボットといってもペッパー君やアシモが、人に代わって仕事をするわけではありません。
厳密に言えばAI・人工知能とは異なるのですが、人がパソコン上で行う様々な事務作業を自動化するもので、定型化された入力作業などはお手のものです。
こうした展示会でいつも思うのが、やっぱり人間は素晴らしいということです。
膨大なデータを読み込んで、それに基づいて処理する能力では、既に人はAIに適わないと断言できます。
それでも、AI・人工知能には人の表情や素振りから相手の心情を読み取る、いわゆる空気を読むことなどできませんし、 様々な事象に心を動かされ、それを糧(経験)にして成長することなど有り得ません。
AIが目にする事象はあくまでデータでしかないのですから。2045年はシンギュラリティ(技術的特異点)と呼ばれ、 発展し続けてきたAI・人工知能が一気に人を超えると言われています。
仮にそうであっても、人がやるべきこと、人だからできることは数多くあるのではないでしょうか。
少々楽観的かもしれませんが、人の可能性を信じていたい自分がいます。
七島 徹
- 1 / 1