柏洋通信

2017年12月

2017.12.14

柏洋通信Vol.60

 【「国際画像機器展2017」に行ってきました。】(12/14)

 今年も横浜パシフィコで12月6~8日の日程で開催された、「国際画像機器展2017」に行ってきました。
画像機器本体のハード面での発展はもとより、画像そのものの認識技術、 特にディープラーニング(機械学習)を駆使したAI技術の進展が、この手の世界を大きく変えようとしています。
ここ横浜パシフィコを舞台に、画像機器に関する大規模な展示会は年2回行われているのですが、 半年でその内容が大きく変わるとも言われています。
6月に開催された「画像センシング展2017」はスケジュールが合わず、1年ぶりの展示会になりました。
いやがおうにも気持ちが高まります。

さて、今年は「Deep Learning(機械学習)が革新する画像認識」と題するセミナーに参加することができました。
ディープラーニングは正にタイムリーなテーマだけに、会場は多くの人で埋まっていました。
外観検査、異物検査、寸法検査に、人の目の代わりにマシンビジョンを活用することは今や常識です。
カメラや画像認識技術の急速な進化もあって、一定の環境の下、例えば検査対象が同じ製品、  検査対象の面や輪郭をはっきり写すことができる、良・不良の判定基準が明確であり、  個人差が入り込まないでは、かなりの効果が出せるようになっています。

しかしながら実際の製造現場では、このような恵まれた条件は極々まれだと言わざるを得ません。
当社を例にとっても検査の対象物は、小は10ccの化粧びんから大は1ℓのビールびんまで、様々な大きさ、形状の製品が数百種類に及びます。
そもそも対象物そのものがガラスびんですから、光を透過したり反射したりと一筋縄ではいきません。
照明やレンズなど光学的な工夫や、画像処理の技術を駆使しても完璧とはいかず、 どうしても人の目に頼らざるを得ないのが現状です。
当社のみならず、セミナー受講者の熱い視線からも、多くの企業が同様の問題を抱えていることが改めて理解できました。
そこで登場するのがディープラーニングです。
ディープラーニングは機械に人の目と、脳に近い判断能力を持たせます。  世界各地で実証試験が始まっている自動運転技術は、正にこうした最先端技術の集大成なのでしょう。
ここからは専門的な分野に踏み込むので、私自身正確に理解できているわけではありませんが、 クラス分類(画像を一定の基準?ごとに分類する機能)とセグメンテーション(画像の位置と種別を推定する機能)が役立つのだそうです。
これらを駆使した結果、金属板の表面に錆がある、なしを的確に判断できるようになった事例が紹介されました。
錆の色は一定ではなく、しかも汚れとの区別も非常につきにくいものです。
従来の手法ではそこがクリアできませんでした。
今回は誤認識した場合でも、人間が見分けのつかなかった事例ばかりでした。
金属の錆の判定には、ディープラーニングが有効であることが証明されました。

クラス分類とセグメンテーションの手法を活用すれば、画像認識能力は格段に向上します。
例えばある人間を認識する場合、従来は輪郭や色など正面から見た画像から認識していましたが、  現在では多くの人間が映り込んだ街角の画像の中から、しかも斜め後方から見える人物を認識できるまでになっています。
ただし、そうした認識を可能にするためには、膨大な数のサンプル画像が必要なことも事実です。最低でも様々な状況の1万枚を超える画像が必要だとか。
そろえるだけで膨大な時間とコストがかかるため、ディープラーニングが一般に普及しにくい一因にもなっているようです。
とはいえ、コンピュータの進歩も想像を絶するものがあります。
コンピュータが自ら学習し、微妙に異なるサンプル画像を作り出すこともできるようになってきたとのこと。
実在する世界のセレブの顔写真からその特徴を学習し、その上で実在しないセレブの顔写真を大量に作り出した例が紹介されていました。
これには驚かされました。
現実にはないものを創造する能力も持ち始めているとは、AI(人工知能)恐るべしです。
何やら壮大な話になってきましたが、製造現場の検査工程から人が消える日も、そう遠くないと思えるようなりました。

代表取締役社長
七島 徹

2017.12.05

柏洋通信Vol.59

  【8回目の色替えが終了しました。】(12/5)

 11月20日から8回目の色替えに入り、予定通り25日から生産を再開しました。
今回は茶から白(透明)への変更になります。
前回の実績を基に検討した結果、今回の色替えでは幾つかの変更を加えました。
まず溶解炉自体のガラスのレベルを僅かに上昇させ、その後一定の時間を経て元のレベルにまで戻しました。
これは白とは性質の異なる茶色のガラスが、溶解炉内に残らないようにするためです。
また吹製再開に合わせ、溶解炉の底部の温度を若干上昇させました。
これは気泡の発生を抑えるとともに、熔解炉の隅に停滞しやすい結晶化したガラスなどを、出し切る効果を期待してのことです。

詳細な分析はこれからになりますが、生産再開から2週間程度を経た時点では、前回と比較してよりスムーズに立ち上げることができたと見ています。
当社に最適な色替え技術の確立に向け、まだまだ試行錯誤は続きます。

代表取締役社長
七島 徹

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