柏洋通信

2017.06.05

柏洋通信Vol.48

  【第28回チャイナグラスに行ってきました。】(6/5)

会議室で概要の説明を受けた後、完成品の仮組み・チェック工程を見学しました。

 第28届中国国际玻璃工业技术展览会(第28回中国国際ガラス工業技術的展覧会:以下チャイナグラス)に行ってきました。
チャイナグラスは中国最大のガラス産業の見本市で、2年おきにデュッセルドルフで開催されるグラステックに次ぐ世界で2番目の規模を誇ります。
毎年北京と上海で交互に開催されており、2017年は5月23日から27日までの日程で、北京の中国国際展覧センター(新館)で行われました。
当社からは私と製造部長、熔解課長の3名が参加しました。

我々の今回のミッションは、チャイナグラス以外にも鄭州にある電鋳煉瓦メーカー、SGS社を見学することが含まれています。
5月23日に羽田を立ち、北京空港経由で空路鄭州に入りました。
電鋳煉瓦とは精製された耐火原料を電気炉で2,000度以上の高温で熔解し、その後固化したものを所定の形状に加工したものです。
通常の焼成煉瓦を遥かに凌駕する緻密な組成を有し、非常に高い強度と耐熱性を持っています。
そのため、溶解炉では1,500度以上にもなる、溶けたガラスの素地が直接触れる部分に使用されます。
溶解炉の最も重要な個所に使われるだけに、電鋳煉瓦は経済性よりも品質が重視される傾向が強いのですが、
中国メーカーの実力向上に伴い、国内のガラス産業でも徐々に使われ始めています。
当社は一昨年に窯修を行ったばかりなので、大規模な電鋳煉瓦のニーズはしばらくないものの、 今から研究しておく必要を感じての、今回の見学になりました。
SGS社は2003年創業と比較的若い会社ですが、アメリカの世界的板ガラスメーカーの品質基準に合格するなど、 海外マーケットも広がりつつあるとか。
工場内の整理・整頓も行き届いており、今後に可能性を感じました。


◆スローガン好きな中国だけに、工場内のあちこちに掲げられています。正にその通りと納得です。

鄭州駅の広大なコンコース。入口では空港並みの荷物チェックがありました。

平日にも関わらず大勢の乗客で混んでいます。その分競合する鄭州⇔北京便は割を食っているようです。

チャイナグラスの会場入口でもセキュリティチェック。様々な事情が推察されますが、日本と中国では安全に対する意識はかなり違うと感じました。

中国の景気減速が取りざたされていますが、欧米から多くの企業が出展しました。

25日の早朝に鄭州を立ち、噂の新幹線で一路北京を目指しました。
最高時速は「のぞみ」を上回る300㎞以上。
その割には揺れも少なく安定しており、技術の高さを感じます。
もっとも土地が広いこともあって、カーブが少ないことも影響しているのかもしれません。
2時間半ほどで無事北京西駅に到着しました。


チャイナグラスの会場となった中国国際展覧センターは、北京空港からほど近く、海外からの見学者にも大変便利の良いローケーションです。
会場は昨年の上海よりもさらに広い80,000㎡に及び、中国内外から886の企業が出展しました。
会期中の見学者は延べで10万人以上に上ったとか。
グラステックでもそうですが、ガラス産業と言えばメインはやはり板ガラス産業ですから、 中国の国営企業や欧米の企業の大規模な展示は板ガラスの独壇場です。
そこから派生する裾野も広く、加工など関連する分野も多数展示されています。
一方ガラスびんに関する展示は、日本より遥かに多い生産量を誇る中国を持ってしても、客観的に見て多くはありません。
それでも、中国内外の企業がそれぞれの得意な技術やノウハウを駆使し、ニッチな分野を徹底的に掘り下げていることを理解するにつけ、
我々グラスマンは大いに勇気づけられます。
もっとも欧米のコピー商品では、と思わせるものを目にすることも事実なのですが。
それでも幾つかの興味のある企業で現物に触れ、デモンストレーションを体験できたことは、知見を広げる上で貴重な経験になりました。


さて、中国と言えば景気の動向も気になるところです。
チャイナグラスの会場でも耳にしたことですが、中国国内のガラス市場は、不動産バブルの崩壊を警戒する政府の動きもあって、需要自体は弱まっているとか。
日本国内で報じられる中国経済に関する論調も、必ずしも良いものばかりではありません。
とはいえ、会場内ばかりでなく、北京や鄭州市内を歩いてみても、中国名物の交通渋滞(?)や繁華街の賑わいを見る限り、景気の減速を窺い知ることはできませんでした。


最後になりましたが、当社のような資金力の限られた企業では、最先端の設備や技術を導入することに限界があることは事実です。
それでも今回同行した二人が、それらの存在に触れ、認識し、理解することに意義を感じてくれたのなら、これこそが今回の海外視察の大いなる成果だと感じています。


代表取締役社長
七島 徹

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